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Report

Milano Report

すっかり初夏の気候のミラノ!日中は汗ばむ暑さ!と感じた5月中旬の週末、ミラノからすっかりミラネーゼが消えました。一体どこへ?!なんと、皆、海へまっしぐら!だったのです!北イタリアは5月中旬ごろから各地でもう海開きです!「日焼け第一弾」がこの時期なのです(笑)。 そしてまた勉強や仕事に戻り、6月に学校が終わると、今度は父親をミラノに置いて母親と子供が海へバカンスに出かけます。5月1日からやっと未接種者に対する規制もほぼ解除されたこともあり、イタリアは一気に2年前の「自由な国」に戻り、観光客で溢れ返っています。ただし、「FFP2マスク」の着用は引き続きあらゆる公共交通機関や屋内イベント会場などで6月15日まで義務付けられています(EUはイタリア以外5月に解除)。

さて、今回は職人展やアート展が目白押しのヴェネツィア特集です。

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*海開き直前のヴェネツィア・リド島(5月1週目)

【待望のHOMO FABER |ホモ・ファーベル、ようやく復活開催!】

2018年に開催し大盛況だった2年に1度の職人展、「ホモ・ファーベル・イベント:工藝が導く人類の未来展」が4月に開催された。会場となるサン・ジョルジョ・マッジョーレ島のジョルジオ・チーニ財団所有の美しい修道院はどこへ目を向けてもその建物や手入れされた庭園が息を飲む美しさだ。普段は足を踏み入れることのない島を訪れるだけでも価値があり、2回目を楽しみにしていた矢先のコロナ禍だった。しかも第二回目は日本がメインテーマだったので尚更だったが、ようやく今年、「ヨーロッパと日本の人間国宝」をテーマに4月10日から5月1日まで開催され連日多くの来場者で賑わった。この展覧会の醍醐味は何と言っても世界からトップの職人が集結し、その技巧を披露してくれるところだ。
今回テーマとなった日本も、世界的有名なデザイナー、深澤直人が「12 Stone Garden」展をキュレーションし、日本から人間国宝の方々を招いて実演する予定だった。残念なことにコロナ禍で叶わなかったが、12名の工芸品を一堂に会したことは史上初で大変貴重な会となった。
また、「Next of Europe (ヨーロッパの未来)展ではフィレンツェ在住の日本人ゾウガニスタ(木象嵌職人)の望月貴文が極薄い木片に湾曲をつけてカットする技を実演し、濃淡のある木材を組み合わせて完成させた温かみある作品に来場者が見入っていた。ミラノ在住の人気プラントアーティスト、川本諭の斬新なフラワーアレンジメントも話題を呼んだ。
そして、今回実演が一番多く見られたのは Details:Genealogies of Ornament (ディテール:装飾品の系譜)展で、日本から京友禅の老舗「千總(ちそう)」が出展、筆を並べ職人による実演が行われた。同じ会場にはエルメスが今回特別用意した日本の柄のシルクスカーフを使用し、職人が僅か数本の繊維を針ですくい、カットし、ブラシで毛羽を出す気の遠くなるような起毛処理を見せてくれた。シャネルは花柄のモチーフの花びらを1枚ずつアルコールランプで熱した金属棒を押し当てエンボス加工を、「セラピアン」は革バッグのメッシュを一本ずつ通す工程を披露していた。
会場には海が見えるテラスレストラン「The ALMA Circle」(会期中のみ営業)がありヴェネツィア旅行を満喫できる。ルームフレグランスなどオリジナルグッズを販売しているブックショップ奥にはロッカーがあり、また、サン・マルコ広場を結ぶ無料水上シャトルも出ている。

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HOMO FABER EVENT
San Giorgio Maggiore, Venezia
次回開催予定:2024年4月

ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展、3年ぶりに開幕!

4月23日、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展が3年ぶりに開幕し、11月27日まで開催される。建築展と毎年交互に開催するビエンナーレ(2年に1度という意味)、昨年の建築展の際はまだ人がまばらだったが、今年はヴェネツィアの駅に着いたとたん、久しぶりに観光客でひしめき合う光景に懐かしさえ覚えた。ビエンナーレ会場は島の東側にあるため、ヴェポレットと呼ばれる水上バスに乗って向かう。メイン会場は万博のように国ごとにパビリオンが分かれる「アルセナーレ」と、アルセナーレに出展しない国のブース出展、「ジャルディーニ」に分かれており、遠い方のアルセナーレから見て歩いてジャルディーニへ移動、というのが一般的。今回、58カ国が参加し、全体的にジェンダーや民族、環境汚染問題などをテーマにした展示が目立った。「The Milk of Dreams」とタイトルを掲げた今回のキュレーターに初めてイタリア人女性が起用されたことから始まり、今回は女性、ジェンダーノンコンフォーミング(従来の規範に当てはまらない)を主張するアーティストが実に9割を占めている。アメリカ館でも初めて黒人女性、シモーヌ・リーがキュレーターとして抜擢、展覧会部門で金獅子賞を受賞した。また、今回は2月に勃発したロシア・ウクライナ間の戦争も影響し、ウクライナの展示は、ウクライナの街のパブリックアートを守っていることを示すサンドバッグが広場に積み上げられている。そしてウクライナ人女性画家、マリア・プリマチェンコによる「カラス」という水彩画の背景には、第二次世界大戦やチェルノブイリを体験し、今なおウクライナで戦火に遭い、大半の作品がリスクに晒されているというストーリーがあり胸を打つ。そのほか、ヴァレンティノがメインスポンサーのイタリア展ではイタリアの経済と産業の発展をテーマにズラッと並ぶミシンが圧巻、フランス館ではアルジェリア系のアーティストが初めて代表に選ばれ1960〜70年代の政治の影響を受けた映画制作現場を再現、スペイン館では、たまたまパビリオン平面図が10度間違って傾いていたことから発想を得て、屋内に10度ずらした壁を設置し空間の記憶を破壊するというユニークな試みが新鮮。そしてベルギー館では世界の子どもたちの昔ながらの素朴な遊びをビデオで紹介した「The Nature of the Game」は思わず誰もが童心に返るとてもよいプロジェクトだった。

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BIENNALE ARTE 2022 - The Milk of Dreams
場所:ARSENALE + GIARDINI, Venezia
開催期間:4月23日〜9月25日11am-7pm、9月27日〜11月27日 10am-6pm

ヴェネツィア・ビエンナーレ|会場外展示

ビエンナーレ国際美術展はメイン会場外でもヴェネツィア中を巻き込んで開催されている。
その中から2展示を紹介しよう。

●Nilufar(ニルファー)

世界中から富裕層がプライベートジェットで降り立つヴェネツィアの玄関として有名なリド島のジョヴァンニ・ニチェッリ空港。イタリアで最も古い商業空港だ。戦争の爆撃を逃れ1920年代のディテールを残した建築物でもある。その館内をジャックしているのがイタリアを代表するデザインギャラリー、Nilufar(ニルファー)だ。このプログラムの一環として、空港管理会社は、ミラノに拠点を置くニナ・ヤシャール・ニルファーに共用部分の家具の共同製作を依頼した。ここでは、ジオ・ポンティ、フランコ・アルビーニ、マルティーノ・ガンパーといった巨匠の歴史的なデザイン作品と、イグナツィオ・モンカダ、ピエトロ・コンサーグラといった現代美術の作品も並ぶ。更に、ニルファーはメインの建物に隣接するかつて航空機の燃料として使われていた「スパツィオ・エッソ」でも展示を行っている。エアターミナルの給油所という珍しい空間が伝統的な展示室に生まれ変わった。6月30日までは陶芸家カサンドラ・ホーの作品を展示している。窓からはVIPの専用機が飛び立つのを間近に見える。ビエンナーレのオープニングにはニルファーと親しいミウッチャ・プラダもここに降り立ったそうだ。

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Nilufar Nicelli Venice Airport
Aeroporto Giovanni Nicelli
Via Renato Morandi, 9, 30126, Venezia
開催期間:4月20日〜6月30日(実際には年内、もしくは来年も内容を変えて継続する予定)

イサム・ノグチ合同展

第59回 ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の一環としてケリーニ・スタンパリア財団主催のイサム・ノグチの合同展が開催されている。ベトナム人アーティスト、ヤン・フォーと同財団の現代美術プログラムを担当するキアラ・ベルトラがキュレーション担当。
本展は、韓国の芸術運動「淡彩画」の創始者として知られるPark Seo-Bo(1931)、日本生まれの著名なアメリカ人彫刻家、建築家、デザイナー、舞台美術家であるイサム・ノグチ(1904-1988)の作品とヤン・フォーの作品を対話させる、きわめてユニークな展覧会となっている。かつてヴェネツィアの貴族ケリーニ家の私邸であった歴史的建造物の空間全体を包含しており、長年にわたって美術品、書籍、貴重な物品などの膨大な遺産を蓄積し、1869年に財団が設立された際に地域社会に公開された重要なコレクションを誇る。ノグチのサイン入りランプ「Akari」や、ベルリン北部のギュルデンホーフにある彼のスタジオで制作された多くの作品など、「光」のインスタレーションでクエリニの空間を彩っている。この展覧会は、キアラ・ベルトラがケリーニ・スタンパリア財団のために企画・監修した複数年にわたるプログラム「未来を守る」の一環で、現代アーティストが財団の空間と向き合い、対話し、新しい表現のためのインスピレーションを引き出す、重要な実験という意味合いをもっている。クエリニ・スタンパリア財団は、ヴェネツィアの美術館として名高いだけでなく、ヴェネチアで最も重要な図書館の一つでもある。
「Danh Vo, Isamu Noguchi and Park Seo-Bo」展は、2022年11月27日まで公開予定。

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Danh Vo, Isamu Noguchi and Park Seo-Bo展
場所:Fondazione Querini Stampalia Onlus | Santa Maria Formosa Castello 5252, 30122 Venezia
期間:4月20日〜11月27日 10am – 6pm (月曜閉館)

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